株式会社 櫻井工務店
櫻井良さん

「人に向き合い、地域と現場で積み重ねてきた道」

大工からスタートした東大阪市の櫻井工務店・櫻井 良さんは、法人化して8年目を迎えられました。これまでの歩みや地域とのつながり、仕事に対する考えをお尋ねしました。

地域のつながりを大切に仕事も充実

―――大工になろうと思ったきっかけは、どのようなものでしたか。

「母の知り合いが経営している工務店に入りました。最初は大工見習いとして、言われたことをこなす毎日です。正直、最初から強い覚悟があったわけではありません。でも数年経ち、『このまま人に言われた仕事をするんじゃなく、しっかり技術を身につけたい』という気持ちが強くなっていったという感じです。
当時は一人の師匠や先輩について教わる、という環境じゃなかったですね。現場は一つではなく、いろんな工事に行き、複数の職人に出会いました。教えてくれる人もいれば、“見て覚えろ”というタイプの人も。戸惑いながらも、見て、真似して、失敗して、また覚える。その繰り返しの中で、少しずつ任される仕事が増えていったのです」。

―――独立する時の気持ちの変化、タイミングはありましたか。

「別の会社に移って在来木造の加工を学ぶ機会にも恵まれました。自分は器用なタイプだとは思っていませんが、技術を覚えること自体は苦ではなく、むしろ面白さを感じてどんどん学びたいという気持ちでしたね。24歳で個人事業主になったのは、声をかけてもらい任せていただける仕事が増え、そろそろ自分の名前で仕事をするタイミングかな、と感じたからです。
その後結婚して、妻の実家近くに会社を構えました。子どものPTA活動に関わるようになって、地域の中で知り合いができたのも大きかったですね。紹介をいただくことも増え、また次の仕事にもつながるという感じで、ここまでやってきました。
若い頃の自分は、どちらかというと黙々と手を動かすタイプで、積極的に話しかけるような性格でもなかったかな。でも今は現場も経営も含めて、人とのつながりがあってこそ仕事が成り立つと実感しています」。

時間をかけて生まれた一棟への想い

―――これまで担当された仕事の中で、忘れられないお客様や現場はありますか。

「いろいろな仕事をしてきましたが、特に印象に残っているのは、紹介をいただいて担当させてもらった45坪ほどの新築住宅です。吹き抜けのロフトをつくり、天井や壁には無垢材を貼り、ベランダにはウッドデッキも設けるというこだわりが詰まったお住まいになりました。打ち合わせは何度も時間をかけて、お客様が描かれているイメージや、家に対する想いをお聞きして細かな収まりにも気を配り、一つひとつ理想を形にできたと思っています。
完成後に『頼んでよかった、住まいづくりが楽しかった』と言ってもらえた時は、本当にうれしかったですね。その言葉が今も心に残っています」。

―――得意とされる住宅のリフォーム、店舗の工事で気をつけておられる点は。

「やはり予算と仕上がりのバランスが大切です。住宅なら新築のようにしたいのか、修繕して使えるようになるだけでよいのか。それによって予算はかなり変わってきます。店舗ではどんなイメージのお店にしたいのか、納期なども含めてしっかりお聞きした上で進めることが多いですね。どんな時でもお客様に喜んでもらえるよう、納得してもらうまで説明してから進めています」。

現場主義でありながら挑戦も続ける

―――法人化されて今後手掛けられたい事業や人材確保について、どのように考えられていますか。

「8年前に法人化し、会社としての安定も考え公共工事にも挑戦しています。経験のある職人に来てほしいし、公共工事には事務手続きも必要になるので、順次スタッフを充実したいと考えています。若い頃は親に心配をかけましたが、今では父が工事を手伝ってくれることもあり、ありがたいですね。
動画で何でも学べる時代ですが、これまで自分が培ってきた木造の知識や経験を、教えられる機会があればいいなと。でも昔の技術を学びたい人はどれだけいるのだろうか?とは思いますね。日々の忙しさに満足せず、これからも基本は現場を大切に、いろんなことに挑戦していきたいと考えています」。

「事務所兼自宅も自分で建てました」と語る櫻井 良さん。現在はご子息のラグビー観戦が楽しみとのことです。

                       取材・文:武田 由紀江


DATA

会社名:株式会社 櫻井工務店
所在地:〒579-8053大阪府東大阪市四条町3-13
代表取締役:櫻井 良
TEL 072-951-515