「継承した技術を活かしてニーズに応えられる工務店」
18歳から大工の修行を始め、2024年3月から工務店としてより幅広い工事を手掛けられている八尾市の梶山工務店さん。修行から学んだことや作業へのこだわり、今後の仕事について代表の梶山 祥一さんにお伺いしました。

小学生の時に描いた夢を叶えて
———2024年から工務店として新たにスタートされたきっかけや想いを教えてください。
「“大工の便利屋さん”と名刺にも書いていて、家の中で困ったことがあれば気軽に駆けつけられる存在になりたいと考えました。大工仕事はもちろん、補修やリフォームなど、地域の方が相談しやすい工務店を目指します。
実は小学生の時の夢を見返してみたら“大工”でした。なるべくしてなったのか、この道しかなかったのかは分かりませんね(笑)」。
———夢の通りになっていますね。大工になるため、最初は師匠に弟子入りされたのですか。
「進路を決める時期になって、自分は会社員ではないなと。ふと大工になろうと思いました。今思えば日曜大工(DIY)が好きだった父の影響があるのかも。友達の親御さんを通じて父と同年代の大工・盛田さんを紹介してもらいました。弟子を雇うところが減っていたのでありがたく、2年半ぐらいお世話になっています。
まずは掃除や片付け、そのうち親方の作業を同じようにやってみる、という感じでした。今では木材のプレカット※が主流だけど28年前は全部手作業で、細かな仕上げもあり分からないことだらけの毎日‥。寡黙な方だったし、手取り足取り教えるのではなく、技術は見て覚える感じですね。
そのうち親方の知り合いが手がけられる棟上げを手伝いに行ったり、大規模な分譲地で複数の大工さんと接したりすることも増え、現場でいろんな方に育ててもらったという感じです。棟上げの時は、朝からお酒を飲んで騒いだこともありましたね。大工としての基本的なことはもちろん、職人さんとの出会いや学べる環境を与えてもらった親方には心から感謝しています」。
※プレカット:住宅建築に使用する木材を予め工場で切断・加工すること。
先輩の技術を学び自分流を確立
———大工さんにとっては作業に必要な道具を揃えたり、普段から手入れしたりも大切なことなのでしょうね。
「弟子入りした時から少しずつ揃えるよう親方に言われ、給料が出た時に払える金物屋さんを紹介してもらいました。独り立ちした後も揃えていって、新しいものも出るし消耗品もあるので、常に何かを補充しているという感じです。今は電動工具が多く、木材を削る鉋(カンナ)など、毎日要るわけではない道具も必要な時にすぐ使えるよう、刃や土台をこまめに手入れしています。
個人的には昔のように、墨付け※をして手刻みする仕事がいつかできたらいいなと思いますね」。
———さまざまな現場や出会いの中で気づかれたことや仕事へのこだわり、やりがいは。
「職人にはそれぞれのやり方、癖があります。独立してからも『この方法は真似したい』、『もっと効率よく作業するには?』と、ずっと試行錯誤の繰り返し。その積み重ねで今の自分があります。ずっと勉強だとは思っていますが、『上手に仕上げるなぁ』と褒めてもらった時には、一人前として認められたと感じましたね。
長年やっていても工事でむずかしい部分があれば『どう納めようか』と1日中、寝ている間も頭の中にあるんです。ずっと考えていたらパッとひらめく瞬間があって、その通りにしてきっちり納まった時は最高の気分になりますね。
大工になった後、現場監督として全体を管理できるような経験もしました。自分も含めて職人は十人十色なので、ご依頼に合わせてより工事がスムーズにいくように適材適所の配置を心がけています」。
技術を活かし丁寧なものづくりを
———大工さんが減っている現状ですが、梶山さんが得意とされる分野、仕事への想いを教えていただけますか。
「大工は減っているし、プレカットが主流の今は組み立てる作業がメインの新築一戸建てやマンションに従事する人も増えてきました。自分は手刻みなど伝統的な大工技術を継承している最終世代なので、古い住宅のリフォームや細かな補修にも臨機応変に対応できます。個人的にも決められたものを造るより、いろんな現場で、お客様のニーズに応えられる仕事をしていきたいですね。
仕上がりのイメージはお客様一人ひとり違うでしょう。事前にしっかりと聞き取りをして「いかに早くてきれいに工事をするか、そしてお客様に喜んでいただくか」を考えて取り掛かっています。丁寧なものづくりを基本として、地域の人に頼ってもらえる“元気な町の工務店”として日々尽力していきたいと考えています」。
「鉋(カンナ)は研ぐだけでなく、いつでも使えるベストな状態に調整しておく」と梶山 祥一さん。
取材・文:武田 由紀江
DATA
会社名:梶山工務店
所在地:〒581-0016 大阪府八尾市八尾木北6-73
代表:梶山 祥一
TEL:090-9093-4541




