和の空間で味わう至福の一杯
香り高き手打ち蕎麦と寛ぎの時間

新しくオープンした「十割蕎麦 武さし」は、通りを歩く人々の目を自然と引きつける。格子戸越しに漏れる柔らかな灯り、風に揺れる生成り色の暖簾。カメラを構えると、夕暮れの空にその佇まいが浮かび上がり、古き良き日本の情景を切り取ったかのような一枚が収まった。
外観は木材の質感を活かし、派手さはないが確かな存在感を放っている。新築の清々しさと同時に、どこか懐かしさを感じさせる設えだ。近づけば、手に触れたくなるような木目の温かさがあり、写真に収めるたびにその素材感が画面を豊かにする。


一歩店内に入ると、ふわりと木の香りが広がる。白壁と木材のコントラストが心地よく、窓から射し込む自然光が空間を優しく照らしていた。まだ真新しい椅子やテーブルも、光を受けて柔らかい影を落とし、時の流れを静かに物語っているようだ。カメラのファインダーを通すと、椅子の背の曲線や、テーブルに反射する光の粒までもが、空間の温度を伝えてくる。


カウンター席に目を向けると、木の一枚板を贅沢に使った重厚感のある天板が印象的だった。その上には、何も置かれていない清らかな空間が広がり、撮影する角度によっては“静寂”そのものを写し取るように感じられる。椅子に腰掛けると、目の前で蕎麦が打たれる様子も望め、まるで舞台の観客席にいるような高揚感が漂う。


さらに2階も現代的な和の雰囲気を持ちつつ、非常に清潔感と落ち着きがある空間に仕上がっており、明るい木目調の内装が、温かみと安心感を演出していた。一部の壁には縦格子(格子スクリーン)が取り付けられており、視線を遮りながらも光を通し、空間にリズム感を与えている。レンズを通すと、まるで昔ながらの日本家屋に迷い込んだかのような錯覚を覚える。ここで過ごすひとときは、都会の喧騒を忘れさせるに違いない。
取材中、客席には人影がなく、静まり返った空間にシャッター音だけが響いた。だがその静けさこそが、この店の魅力を際立たせているように思えた。木の香りと光の陰影が織りなす風景は、料理が運ばれる前から訪れる人を満たしてくれる。
最後に外へ出て、夜の外観を撮影する。行灯の灯りがほのかに揺れ、暖簾が闇に浮かび上がる。その瞬間、まるで街の風景に新たな物語が加わったかのようだった。新店舗でありながら、すでにこの場所に根づいているかのような自然さを感じさせる一枚になった。
この店を訪れる人は、蕎麦の味だけでなく、外観や内装が醸し出す空気感そのものを味わうことになるだろう。レンズ越しに見た「十割蕎麦 武さし」は、まさに“蕎麦をいただく時間を豊かにする舞台”だった。

📌 施工担当:新宮工務店



